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法定雇用率未達成企業を厚生労働省が公開
第11回 職業リハビリテーション研究発表会 発表論文 2003年12月3日

(1)1997年4月障害者の雇用の促進等に関する法律(以下「促進法」という)が改正され、法定雇用率算定の基礎に知的障害者割合が加算された。民間会社の法定雇用率が1.6%から1.8%に改訂され、1998年7月から実施された。ところで、1994年から10年間の実雇用率の推移は次のとおりである(各6月1日現在)。

94年 95年 96年 97年 98年
1.44% 1.45% 1.47% 1.48% 1.48%
99年 00年 01年 02年 03年
1.49% 1.49% 1.49% 1.47% 1.48%

(2)厚生労働省の発表によれば、制度改正前と同じ方法によって計算すると、1999年〜2001年の1.49% は1.48%であり、2002年の1.47%は1.46%である。結局法定雇用率が増えても実雇用率は改善されず、2002年は逆に0.02ポイント落ちたことになる。

(3) 厚生労働大臣は法定雇用率未達成企業に対して障害者雇い入れ計画作成命令の発令権(促進法46条1項)、勧告権(同5項、6項)、公表権(47条)を有している。ところが、厚生労働大臣が公表したのは1992年3月の4社のみであった。

(4) 2001年6月DPI(障害者インターナショナル )日本会議や株主オンブズマンが東京労働局、名古屋労働局、大阪労働局に障害者雇用率の開示を求めた。これに対し、各労働局は各企業の実雇用率の開示を拒否し、開示請求人らはこれを不服として行政不服審査申立をするとともに、2002年3月東京地方裁判所に不開示処分の取消を求める行政訴訟を提起した。

(5) 各労働局は不開示の正当性を次のように述べている。

[1]促進法は、雇い入れ計画作成命令 → 勧告
→ 公表 という段階的手順を定めており、この手順を経ないでいきなりの公表は促進法に反する。法定雇用率達成のためには企業において多大な時間と投資、多大な手間を必要とし、企業に時間的猶予(特別指導期間)を与えるのが促進法の趣旨である。

[2]時間的猶予を与えることなく開示すると、行政と企業との信頼関係が著しく損なわれる。

[3]開示されることにより未達成企業同士でマイナスの連帯感が生まれ、自主改善努力についての姿勢が減退する。

[4]法定雇用率を下回っている企業について、ボイコット運動や社会的制裁が行われる可能性があり、当該企業の社会的なイメージや信用度を低下させ、事業主の正当な利益を害するおそれがある。
  各労働局が仕事を求める障害者の立場に立たず、企業にばかり気を遣っている印象を与えた。

(6) 情報公開審査会は厚生労働大臣の諮問に対し、2002年11月法定雇用率未達成企業の企業名、実雇用率、雇用不足数を開示するよう答申した。

(7) 厚生労働省は、この答申の後の2003年6月に1社を公表した。同省の発表によれば1999年からの3年間4社について公表を前提とした特別指導を行った結果とのことである。ところで、1998年6月1日現在常用労働者63人以上の企業が55,791社あり、そのうち未達成企業は27,840社である。促進法46条1項は未達成企業すべてについて雇い入れ計画の発令権を厚生労働大臣に与えている。
  厚生労働省が指導を行ったのは27,840社のうちわずか4社にすぎない。1998年3月20日労働省告示「障害者雇用対策基本方針」は「雇用率の達成に向けて指導を強力に実施し、事業主の公表を含めた厳正な運用を図っていく」と言明したが、実行されなかった。

(8) 2003年9月8日各労働局は答申にしたがってようやく開示した。

(9)身体障害者及び知的障害者の雇用状況について  (2003年12月22日厚生労働省発表)

(10)せめて厚生労働省ぐらいは労働者の立場に立って毅然として欲しいというのが多くの国民の思いであるが、期待に応えていない。

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